「占領下イラクの今日(いま)」    
−イラク民衆を助けるために何ができるか−
           ●ムニール・チャラビさん(IDAO:占領に反対するイラク民主主義者同盟


 アメリカとイギリスの政府は世界の圧倒的な世論が拒否したにもかかわらず不法で不正義で不道徳な対イラク戦争を行いましたが、戦争の目的であると宣言した大量破壊兵器は発見できず、彼らは自らの侵略を正当化するためにあらゆる誤魔化しとウソを駆使しました。

 非民主的で抑圧的な体制が、破壊的で不法な占領に取って代わられましたが、占領がもたらしたのは経済の崩壊とイラク民衆の貧困でした。

 あらゆる証拠が立証していますが、イラク占領の主要な目的はイラクの石油の支配と略奪であり、イラクやイラン、シリアを弱体化させ隷属させろというアメリカ政府内の親イスラエル派ロビーの圧力なのです。イラク民衆の利益は非民主的なアメリカ政府内の狭いサークルの利害とは一致しようがありませんし、彼らにこそイラク侵略の責任があるのです。

 どのように見てもポール・ブレマーはイラクを支配する最新の独裁者です。イラク人であった前任の独裁者たちと違って、彼は反アラブ、反イスラム、そして確信的なシオニストなのです。このような言い方は感情的で極端に聞こえるかもしれません。しかし、不幸なことに、現在ブレマーの手中に完全に支配されている土地であるイラクの本当の状況を理解しなければならないとしたら、それは現実を述べているのです。

 アメリカ人によって指名された「イラク統治評議会」は、アメリカが指名した実権のない機関であるとイラク人からますます見られていますし、イラク社会を代表してはいません。統治評議会は派閥と民族をもとにして構成されていて、イラクでかつて予期されてきたどんな原則にも違反し、フセイン政権の下でのものも含めてイラク憲法に対してまさに挑戦しています。そのような際だった分断の邪悪な意図が自らを物語っているのですが、同時に、もしも占領軍が統一性のある社会システムが適切に実施されないままにイラクを去ったらイラクは内戦の瀬戸際にしてしまうという狙いを具現しているのです。

 統治評議会の構成員の大部分はアメリカ政府によって個人個人が吟味されアメリカの都合で選ばれました(サダム・フセインが40年前に選ばれたのと同じように)。この統治評議会が実行するのを許されている唯一の統治というのはブレマーと彼の取り巻きによる指令を鵜呑みにするというのに等しいのです。統治評議会が実施する評議というのは占領者がイラクの土地と民衆を完全に支配するのを強化するのに役立つ手段を提供するということなのです。

 アメリカ政府はイラクでは民主的な選挙を行う意思はありません。というのは、そのような選挙はイラク侵略を最初に計画した者たちの目的にとって不利になるイラクの独立した政策を追求する強力な体制を生み出すかも知れないからです。

 経済的な結果がアメリカとイギリスの政府によってどれほど責任ある考慮がなされたかは、彼らのとどまることのないイラク侵略願望から見て、疑わしいことです。戦後の経済の筋書きの目的がただ一つのモデル、つまり大量にわき出る石油をイラク侵攻作戦とそれに続く復興の費用を支払いにあてる、というのは、最優先事項、つまり侵略と占領より後回しになる便利なモデルでした。そして、ジュネーブ条約に露骨に違反して、侵略軍は政策決定者と密接に結びついた企業に下請け労働力を供給することを計算して全ての市民と経済施設を標的にしたのです。

 戦後の経済状況に向けられた関心は冷淡なものですが、戦闘に続く社会施設の破壊に加えて公共財産と私有財産に対する暴力的な破壊と略奪が起こり、イラクは経済が麻痺状態に陥りました。

 もちろん、石油をふんだんに産出するには、途方もない代価を払って復興するのに何年もかかるあらゆる設備(生産や輸出など)を修理し更新する必要があるでしょう。そのためには産業のことやイラク国内の内情を理解するイラク国内の人材という、占領側のハリバートン社やベクテル社が激しく反対する考えも必要となるでしょう。またそのためには国内の治安の安定とそのような治安の安定の下での市場の信用が必要となるでしょうが、それは占領がイラク民衆の願いとワシントンとテルアビブから指令を受けている彼ら自身の優先項目との間で方角を見失っている限りは、実際上は達成が不可能なことなのです。

 もちろん、この枠内であっても、侵略は全面的絶対的に不法で正当性がなく、従ってイラクは被った人的物的損害の全てに補償を要求する完全な権利があるという事実を見失ってはなりません。アメリカ政府とイギリス政府は自らの責任を認めるのを拒否するでしょうが責任は彼らの首に掛かったまま[まとわりついている]なのだと言うことは私たちの全てが知っていることです。

 政治的な抵抗と武装抵抗の両方を受けているために、アメリカは威圧と気まぐれな殺人と大量の逮捕に頼っていて、被逮捕者の権利を守ることができる独立した司法機関に対しては全く責任を持っておらず、そのやり方はフセイン政権下で存在したものと全く同じです。

 占領軍についての正確な数字は必ず手に入るのに、イラク人の死傷者の記録は残されていません。これはおそらく理解できることで、それはアメリカの立場ではイラク人は「人間としては扱わない」からだというだけでなく、イラク人の死傷者数が(a)恥ずべきほどのものであり、(b)占領者たちをたっぷりと補償を要求する法律の裁きにかけるだろうからと言う現実的な観点からです。

 慎重な推計でも戦闘中のイラク人の死者は8000人、負傷者は20000人です。

 もっと混乱しているのは戦闘停止以来の死傷者数です。

 確かな情報筋ではイラクの死者数は毎日100人だとしています。その内の半分は占領軍に殺されたと思われます。彼らは「戦争に付きものの被害」だとして公表もされず忘れ去られています。そして、イラク人のギャングに殺された人々とは違って、占領軍によって殺されたイラク人の相当数が10歳以下の子どものようなのです。負傷者の数はさらに多いです。極めて多くの場合、殺された人の方が障害者となり手足を失った人たちよりも幸福です。障害者となった一家の大黒柱は家族の生活の糧を奪うだけでなく
                    
自分自身が手足の不自由な家族にとっての負担になるのです。最近の例では4歳の子どもがアメリカ兵によって銃弾を浴びせられ、体が麻痺して話すこともできず片目しか見えません。これが毎日起こる出来事の典型的な例なのです。



イラク民衆を救うために、私たちには何ができ、どんな行動ができるのか?

1.アメリカとイラクによるイラク占領を終わらせるために高めるなど現在進めている強力な運動を組織しなければならない。そのような運動は現在進駐している占領軍を助けるために他の多くの諸国に派兵するように圧力をかけることでアメリカによる占領の国際的な隠れ蓑にしようと言うアメリカのたくらみの危険性を強調しなければならない。

2.現行の1483号決議に代わる新しい国連安全保障理事会決議のために活動する。この決議はアメリカの占領当局を終了させ、それに代えてイラク人の全政党で構成する新しい暫定政府とアラブ諸国と国連職員で自由選挙を実行するのに必要な限定された暫定的な期間の統治をし、それにアラブ諸国と国連(アメリカ軍とイギリス軍を含まない)及び既存の部分的な選出を受けた地域の当局によって指名されたイラクの地方警察が支援をする。

3.占領の経済的、社会的、政治的な不正義性を強調する。

4.占領に反対する諸団体との国際的なつながりと共同行動を発展させる。

5.民族自決権のために闘っているイラク民衆と平和を愛する世界の人々の継続したつながりを作り上げる活動をしている「占領監視センター」のような組織を支え、参加する。

6.アメリカ政府とイギリス政府に圧力をかけて、米英の占領軍が緊急措置をとって電気や水道や下水設備などのイラクの重要な公共サービスを復旧させ、全ての緊急サービスに安全と供給物を提供し、全ての公共サービスの労働者に給料を支払うようにさせる。

7.全ての政府に圧力をかけ、「ジュビリー・イラク」のような団体に協力し支持して、イラクに対する全ての国際的な債務と賠償の即時帳消しを求める。

8.アメリカ人であろうがイギリス人であろうがイラク人であろうが、あらゆる戦争犯罪を裁くために「イラク国際戦犯独立法廷」のために活動している諸団体との国際的な結びつきと共同行動を発展させる。

9.アメリカとイギリスに圧力をかけて、残された全てのクラスター爆弾を撤去しDUで汚染されている全ての場所の放射能を除去させる。